硝酸塩の制限で赤くなる水草

水草の赤くなる条件について解説します。水草の種類によって、赤くなるための条件は異なります。水中の窒素を制限しすぎると、水草が不健康になる可能性があるため、水中の硝酸塩（窒素）の制限には注意が必要です。

この情報はTHE 2HR AQUARISTのデニスの研究結果に基づいています。

• 窒素について

窒素は、炭素に次いで必要な栄養素であり、植物の成長において非常に重要です。自然の生態系では、窒素の供給状況が植物の成長率に大きな影響を与えます。例えば、窒素が豊富な土壌は水草の成長を促進します。

• 水中の硝酸塩の制限で赤くなる水草

多くの水草は、窒素が不足しているとクロロフィル（葉緑素）の発達が遅れることがあります。水中の硝酸塩（硝酸態窒素）を制限することで、赤またはオレンジ色の水草をさらに赤くすることができます。

ロタラ・ロトンディフォリア（コロラタ、H'ra、インディカなど）、ゴイアスドワーフ・ロタラレッド、ハイグロフィラ・ピンナティフィダ、ハイグロフィラ・アラグアイア、ニードルリーフ・ルドウィジア、ルドウィジア・ブレビペスなどの水草は、真っ赤な色を深めるためには水中の硝酸塩を制限する必要があります。高光量だけを使用しても同じ色を引き出すことはできません。

ロタラ・ハラ（H'ra）の色合いは、水中の硝酸塩が制限された時点で変化します。

左がAPT ZERO、右がAPT COMPLETEを投与したロタラ・ハラ

ルドウィジア・スーパーレッドは、硝酸塩の制限によって色味には影響を受けませんが、葉が小さくなる傾向があります。 （左がAPT ZERO、右がAPT COMPLETEを投与）

ニードルリーフ・ルドウィジアは、硝酸塩の制限下では葉が細くなり、より赤い色で成長します。一方、硝酸塩が豊富な場合には、オレンジ色で広い葉に成長します。（左がAPT ZERO、右がAPT COMPLETEを投与）

アルテルナンテラ・レインキーは、硝酸塩の制限が着色に影響を与えない水草です。

• 水中の硝酸塩を制限する際の注意点

この効果を得るためには、水中の硝酸塩を制限し、他の栄養素は豊富に投与する必要があります（ APT ZEROの使用をお勧めします）。通常、この方法は水中に投与される硝酸塩（NO3）を制限することで実行されます。ただし、水草には窒素が必要なことに注意が必要です。そのため、この方法を実行する場合、窒素を根から水草に供給するために、窒素が豊富なソイルや固形肥料 APT JAZZを使用します。これにより、水草の成長が阻害されずに健康的に育つことができます。

• 水草を赤くする以外に水中の硝酸塩を制限することのメリット

水中の硝酸塩を制限することで、一部の有茎草はより密に成長する傾向があります。成長を遅くすることで、トリミングや植え替えの頻度が減少し、水槽が過密状態になるのも遅れるため、水槽の安定性が向上することがあります。

ハイグロフィラ・ピンナティフィダを赤くするには、硝酸塩の制限が必要です。光が強力でも、硝酸塩が豊富な場合、葉は緑色になります。

よくある質問

• 硝酸塩の制限は全ての水草水槽で行うことができますか？

水草をゆっくり育てたい場合、硝酸塩の制限でよく育つ水草を組み合わせることが有効です。この方法は通常、ソイルに根付いた水草に適用されます。ただし、ソイル内の窒素が不足しないように注意する必要があります。窒素の長期的な不足は、水草の不健康を引き起こす可能性があります。この方法を長期間維持する場合、固形肥料などを使用して窒素が不足しないようにすることが重要です。特定の種類、例えばルドウィジア・パンタナルなど、は豊富な水中投与でより安定して成長します。

• 水中の硝酸塩が0ppmでも問題ありませんか？ 

水草がソイルに根付いている場合、ソイルから窒素を吸収できます。ソイルや固形肥料に含まれる窒素は、時間とともに水中に溶け出します。水草は水槽内の利用可能な栄養素に適応します。そのため、窒素が不足すると水草の成長が遅くなることがあります。ただし、長期間にわたって窒素が不足すると、水草が不健康になる可能性があります。水草の種類によっては、豊富な窒素を必要とするものもあるため、水草の選択が重要です。

• 水草は水中に硝酸塩が豊富にある方が健康に育ちますか？

窒素が豊富な環境で育った水草は通常、より丈夫で健康です。一方、硝酸塩の制限が長期間続くと、水草はより繊細になります。一部の水草種は硝酸塩の制限に対して強い耐性を持っています。例えば、上の写真にあるロタラ・ハラの場合、健康状態に実質的な違いは見られません。ロタラ・ロトンディフォリアやハイグロフィラ・ピンナティフィダなどは、硝酸塩の制限に対して強い水草種です。

• 水草の赤色と成長率以外に硝酸塩の制限で起こることは何かありますか？

有茎草は脇芽を出す能力に関して、硝酸塩の制限に影響を受けます。硝酸塩が制限されると、脇芽の数が減り、茂みが密になりにくくなります。対照的に、窒素が豊富な環境では有茎草は多くの脇芽を出し、茂みをより早く形成します。特定の水草種、例えばルドウィジア・グランデュローサ（レッドルブラ）やルドウィジア・スファエロカルパなどは、硝酸塩が制限されると横に這い、ソイルに根を張ろうとします。一方、窒素が豊富な環境では垂直に成長しやすくなります。また、一部の種は硝酸塩の制限により小さな形になることがあります。

• 水草の窒素不足を防ぎながら水中の硝酸塩をどのように制限すれば上手くいきますか？

水草がソイルに根付いている場合、栄養系ソイルを使用し、定期的にソイルを追加したり、固形肥料APT JAZZを埋め込んだりします。固形肥料やソイルにはアンモニア（アンモニア態窒素）が含まれており、これがソイルと結合します。ソイルに根付いた水草は、根から窒素を吸収することができます。したがって、ソイルに窒素が含まれている限り、水中の硝酸塩を0ppmにすることは問題になりません。

少量の硝酸塩を定期的に水中に投与することで、わずかな窒素制限を行うことができます。例えば、APT COMPLETEはわずかな窒素制限を行うことができますが、それでも十分な量の窒素を含んでいます。一方、APT ZEROは窒素を含まないため、APT ZEROを使用する場合は窒素を長期間にわたって生体またはソイルから供給する必要があります。 

• 硝酸塩の制限に対する水草の耐性と、ライトの光量（Par値）に相関関係があると思いますか？

硝酸塩の制限の耐性は水草の種類によって異なりますし、着色も水草の種類によります。光量の強さも水草によって、よく反応するものもあれば全く反応しないものもあります。

例えば、ロタラ・ロトンディフォリアの場合、光量がかなり強く硝酸塩が多い場合よりも、光量が弱く硝酸塩が少ない場合のほうが赤くなることがよくあります。他の水草は中間の反応を示すこともあります。

一方、ホシクサ・キングクリムゾンは硝酸塩の制限によりより赤くなりますが、高光量のみでもかなり赤くなることがあります。

ホシクサ・キングクリムゾンは、硝酸塩の制限や高光量、どちらの条件でも赤くなりやすい水草です。

• まとめ

APTの液体肥料の効果的な使い方についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。初めはAPT COMPLETEを使用し、水草の育成に慣れてきたら徐々にAPT ZEROに切り替えることをお勧めします。また、APT COMPLETEとAPT ZEROを併用することもできます。