水草水槽を上手く立ち上げる方法
水草水槽を上手く立ち上げる方法について解説します。新しく立ち上げた水草水槽は初めは美しく見えますが、後になってコケが生えてくることがあり、これが原因で挫折することがよくあります。そうした方々に参考になる方法を紹介します。
今回の情報はTHE 2HR AQUARISTのデニスの研究結果に基づいています。
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水草水槽を上手く立ち上げる5つのステップ
①水草植栽前にサイクリングを行う
新しい水槽は、何十億年も前の若い地球のようなものです。見た目は美しく安定しているように見えますが、実際には非常に不安定な環境です。
このような環境では、コケ類やシアノバクテリアなどが水草よりも優勢になります。さらに、有毒なアンモニアを含む有機廃棄物も多く存在します。(アンモニアテストで検出されない場合でも)
水草を植栽する前に、水槽を循環させること(サイクリング)は非常に有効です。レイアウトが完成したら、フィルターのみを動かします。2HR WayではAPT STARTを使用し、最低でも2週間は水槽を循環させます。水草を植え付ける前に、アンモニアテストを数回行います。
②水草を70%以上植栽する
水草は水槽の底面の70%以上を覆うように植栽します。水草はまるで森の木々のような存在です。木々がまばらな森では雑草が生えやすいのと同様に、水草がまばらな状態から始まると、コケが発生する大きな要因となります。
③環境を安定させる
最初の2週間は水槽がきれいな状態が続きますが、その後茶色のコケが生えることがよくあります(上の写真)。
CO2を添加している水槽では、通常1〜2週間で茶ごけがなくなりますが、この期間にライトの点灯時間や強度、CO2濃度が不規則になったり、水質パラメーターが何度も変わったりするのは好ましくありません。これらの変動は水槽の環境を安定させるまでの時間を逆に長くする可能性があります。
CO2を添加しない水槽では、このプロセスは通常よりも長く、4〜6週間かかることがあります。CO2を添加しない場合、水草の成長と環境への適応が遅れるためです。
この時期には、強力な殺藻剤や肥料、他の添加物の使用は避けることが重要です。これらの手段は安定した水槽環境の確立を早めるのではなく、かえって遅らせる可能性があります。
下の写真は、茶ごけがなくなった後の水槽を示しています。
④肥料を投与する
2HR Wayでは、水草を植栽した直後に肥料を投与します。これにより、水草は環境により早く適応できるようになります。最初の2〜3ヶ月はAPT ZEROと栄養系ソイルの併用がおすすめです。APT JAZZを追加するとより効果的ですが、基本的にはAPT ZEROのみでも問題ありません。その後、ソイルの栄養素が枯渇してきたり、魚の量が少ない場合はAPT COMPLETEに切り替えます。
液体肥料の投与量は一定で、定期的に行う必要があります。成長の早い水草や根元からの栄養を好む水草を育てている場合は、APT JAZZを使用すると良いでしょう。
魚は水草を植栽した後、1週間からできれば2週間後に加えましょう。魚が多い場合は、APT ZEROとAPT JAZZを併用することをおすすめします。
⑤水草の植え替え
水草は水槽の環境に適応するために段階を経ます。通常、水草は古い葉を犠牲にし、新しい葉にエネルギーを注ぎます。そのため、古い葉が枯れることは普通の現象です。
有茎草の場合、新しく成長した葉は水槽の環境に適応しているので、背が伸びてから(約10〜15cm)元気なトップを植え替えます。古い茎や根は捨ててください。新しい根は簡単に生えてくるので安心してください。水草は多年生ではないので、根がなくなっても問題ありません。
水草を植えた後、最初に行うべきステップは、ただ単にトリミングするだけでなく、手入れを怠らずに植え替えを行うことです。
ほとんどの有茎草では、植え替え後に2〜3回ほどトリミングしても問題ありません。ただし、繰り返しトリミングすると下葉が劣化する可能性があるため、そのタイミングで植え替えを行います。有茎草は手入れの手間がかかる水草です。
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その他の注意点
①有機廃棄物を取り除くためには、通常、水換えの量と頻度を増やすことが効果的です。水が澄んでいるように見えても、注意が必要です。バクテリアを誤って減少させないように、カルキ抜きを使用することを忘れないでください。
②最初の1ヶ月は、光の強さを抑えて、点灯時間を6時間以下に設定すると良いです。
③育成が比較的簡単な水草を利用すると良いです。丈夫な水草(たとえば、パールグラスなど)を立ち上げ時に一時的に使用し、環境が安定してきたらこれらを廃棄する手法は、経験豊富なアクアリストたちが昔から利用している方法です。
もし、植物が溶け続けたり、コケに覆われたりする場合は、水槽の準備が整っていない可能性があります。一方で、新芽が元気に見え始めたら、それは水槽の準備が整った合図です。
④水草を植える順番は重要です。例えば、クリプトコリネ・フラミンゴやハイグロフィラ・チャイなど、育成が難しい水草を初期に導入すると、コケに覆われたり溶けたりする可能性が高まります。育成の難しい水草は、環境が安定してから植えると、上手に育つ確率が格段に上がります。

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Dennis Wongの一言
水草は、水上の葉から水中の葉へと移行する際に、大きな変化を遂げます。
CO2に焦点を当ててみましょう。通常、私たちが呼吸する空気中のCO2濃度は約400ppmです。しかし、水槽ではCO2を添加しても、平均的には20ppm以下が一般的です。これは、私たちでいうと、一気に食事のカロリーを2000キロから100キロに減らすのと似ています。
水草の水中への移行は難しいものですが、水槽を事前にサイクリングさせれば、スムーズに移行できることが分かります。このプロセスでは、バクテリアコロニーが形成され、水中の環境が安定する時間が確保されます。組織培養された水草は、そのまま環境に適応することができます。購入した水中葉は、新しい水槽の環境に簡単に適応できるメリットがあります。
他には?
水槽のバクテリアコロニーの成熟を早めるためには、APT STARTなどの製品を使用すると良いです。これには、特に魚や水草から出る有機廃棄物を分解するバクテリアが含まれており、水槽内のバクテリアの働きを促進する効果があります。