水草の固形肥料と施肥方法|根から栄養を吸収する水草の育て方

2025年12月16日

※原文:THE 2HR AQUARIST
https://www.2hraquarist.com/en-mk/blogs/fertilize-planted-tank/root-feeders-fertilization

本記事は、上記英語記事の内容と施肥思想をもとに、日本の水草水槽ユーザーにも理解しやすい形で整理・再構成したものです。


根から栄養を吸収する水草とは

水草は「水中(液体肥料)」と「底床(固形肥料)」の両方から栄養を吸収しますが、中でも根からの栄養吸収への依存度が高い水草は、施肥方法によって成長や健康状態が大きく左右されます。

代表的な根肥料依存型の水草には以下があります。

  • クリプトコリネ

  • エキノドルス(大型ロゼット系)

  • ニムファ

  • バリスネリア

  • サジタリア

これらの水草は、葉よりも根から多くの栄養を取り込む傾向があります。


なぜ底床の栄養が重要なのか

栄養豊富なソイルや底床は、単なる「植える場所」ではありません。

  • 有機物やミネラルを保持する

  • 微生物の活動を支える

  • アンモニア態窒素を安定的に供給する

といった役割を果たします。

特にアンモニア態窒素は、水草が硝酸塩よりも少ないエネルギーで利用できる窒素源であり、根域に存在することで成長速度と健康状態を大きく向上させます。


液体肥料だけでは不十分な理由

水中に液体肥料を十分に入れていても、根肥料依存型の水草がうまく育たないケースがあります。

理由はシンプルで、

  • 一部の栄養素(鉄・リンなど)は水中で反応・沈殿しやすい

  • 根域での還元反応が起きない

  • 根が直接アクセスできる栄養が不足する

からです。

そのため、底床への栄養供給が不足すると、葉色の悪化・成長停滞・溶けといった問題が起こりやすくなります。


ソイルと固形肥料の役割

栄養系ソイル

栄養豊富なアクアソイルは、

  • 初期に多くの栄養を含む

  • 長期間にわたって根域を支える

という大きな利点があります。

ただし、どのソイルも時間とともに栄養は消耗していきます。


固形肥料(ルートタブ)

ソイルの栄養が減ってきた水槽では、固形肥料が重要になります。

固形肥料は、

  • 特定の場所に

  • 必要な量だけ

  • 直接根の近くへ

栄養を供給できるため、効率的です。

成長が遅い水草や、特定の株だけを強化したい場合にも有効です。


不活性底床での注意点

砂利や砂などの不活性底床は、

  • 栄養を保持する力が弱い

  • 固形肥料が水中へ拡散しやすい

という特徴があります。

そのため、不活性底床で根肥料依存型水草を育てる場合は、

  • 固形肥料の定期的な追加

  • 水中(液体肥料)との併用

がほぼ必須になります。


水中施肥と底床施肥は対立しない

THE 2HR AQUARIST が繰り返し強調しているのは、

水中施肥か、底床施肥か、どちらか一方を選ぶ問題ではない

という点です。

  • 水中施肥:即効性・全体への供給

  • 底床施肥:持続性・根域への集中供給

両者を組み合わせることで、

  • 水草の健康

  • 安定した成長

  • コケの出にくい水槽

を実現しやすくなります。


APTシリーズを施肥理論に当てはめると

ここまで説明してきた内容を踏まえると、施肥は「製品選び」ではなく、
水草がどこから栄養を受け取っているかに合わせて考えるべきだと分かります。

APT Feast(栄養系ソイル)

根肥料依存型の水草にとって、最も重要なのが根域そのものの栄養状態です。

APT Feast のような栄養豊富なソイルは、

  • 根域にアンモニア態窒素を供給できる

  • ミネラルを保持し、ゆっくりと放出する

  • 根の発達と安定した成長を長期間支える

という点で、根から栄養を吸収する水草の土台になります。

特に、クリプトコリネやエキノドルスのような水草では、
水中施肥だけでは得られない安定感を生み出します。


APT Jazz(固形肥料)

どんなソイルでも、時間とともに栄養は消耗します。
その段階で重要になるのが、必要な場所にだけ栄養を補える固形肥料です。

APT Jazz は、

  • 特定の株の根元に直接入れられる

  • 根域にアンモニア態窒素を補給できる

  • 成長の遅い水草や弱っている株を狙って強化できる

という特徴があります。

ソイルが痩せてきた水槽や、不活性底床の水槽では、
根施肥を成立させるための重要な補助となります。


APT 3(液体肥料)

根肥料依存型の水草であっても、
すべての栄養を根だけで賄っているわけではありません。

APT 3 は、

  • 水中から素早く吸収される栄養を補う

  • カリウムや微量元素を安定して供給する

  • 植栽直後や根が未発達な段階を支える

といった役割を担います。

根域(APT Feast / APT Jazz)と水中(APT 3)を組み合わせることで、
即効性と持続性の両立が可能になります。


まとめ

  • 根肥料依存型の水草は、底床の栄養状態が成長を左右する

  • 栄養系ソイルが「基盤」になる

  • 固形肥料は根域をピンポイントで補強する

  • 液体肥料は水中からの即効性を担う

それぞれの役割を理解して組み合わせることが、
安定した水草水槽を長く維持するための最短ルートです。


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