水道水の水質を調べる方法
水道水の水質を調べる方法について解説します。多くのアクアリストは、水換えに水道水を使用するため、水草を育てる上で水道水の水質を知ることが非常に重要です。
今回の情報はTHE 2HR AQUARISTのデニスの研究結果に基づいています。
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水道水の水質について
水道水の水質は、水槽の環境に大きな影響を与える可能性があります。検査キットが手元にない場合でも、市が公表している水質調査結果を利用して、自身の水道水の水質を知ることができます。水道水の水質を把握することで、水草の選定や水槽管理の方針を決定するのに役立ちます。
水道水がアルカリ性でKHが高い場合、トニナなどの軟水種は避けるか、またはRO浄水器を使用する必要があります。逆に、水道水が軟水でカルシウムとマグネシウムの濃度が低い場合に、エビや中程度のGHを好む水草を育てる際には、APT SKYを使用してGHを上げる必要があります。
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水道水の水質を調べる方法
これは私が住んでいる地域の水道水の水質レポートです。左端の列には水道水に含まれる成分が記載されています。多くの成分は環境汚染に関連する化合物ですが、水草水槽にはほとんど影響を与えないため、無視しても問題ありません。以下では、重要なパラメーターについて詳しく解説します。
上記の表にはTDS(蒸発残留物)が記載されています。単位はmg/Lで、ppmと同じです。数値は93ppmと記載されていますが、この値だけでは成分の具体的な内容はわかりません。そのため、TDSの値だけでは水質の詳細な情報を把握するのは難しいです。
生体に危険を及ぼす可能性のある銅の濃度は0.1ppm以下で安全です。総アルカリ度の値は29ppmで、これはKH1.6(総アルカリ度✖️0.056)に相当します。この水質ではトニナなどの軟水種を問題なく育成することができます(KHが2以下の場合)。GHはカルシウムとマグネシウムの値から計算することができます。
((カルシウム✖️2.5)➕(マグネシウム✖️4.1))➗17.8🟰GH
上記の式から、私の地域の水道水のGHは2.3となります。
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水草水槽で重要な値
各パラメーターの詳細については、以下の記事を参考にしてください。
PH
PHは多くのアクアリストが考えるよりも重要ではありません。より重要なのはKH(炭酸塩硬度)です。軟水魚や軟水種を育てることができるかどうかは、KHをチェックする必要があります。PHはCO2を添加すると簡単に値が変化しますが、KHは炭酸塩硬度を上げる素材を使用しない限り安定したままです。KHは炭酸塩硬度の問題について考えるときに焦点を当てるべきパラメーターです。
例えば、PHが8.0よりも高い場合、硬水である可能性があります。一般的に水道水のPHが7未満の場合、通常はCO2が溶解しているためです。水道局では水道管の劣化を防ぐために、PHを中性付近で安定させるため添加剤を追加しています。
TDS
繰り返しになりますが、多くのアクアリストが考えるほど重要ではありません。TDSを構成する成分は値よりも重要です。水に何が溶解しているかを示すものではありません。
例えばTDS15ppmの水道水は、キレイな水道水と解釈されるかもしれません。しかし、その中に5ppmの銅が含まれていれば、すべての生体にとって有害です。同様に水道水のTDSが200ppmでも、そのほとんどがカルシウムおよびその他の良性元素である場合は、水草にとって理想的です。一般的にTDSが100ppm未満の場合、軟水である場合が多いです。TDSが300ppm以上の場合は、硬水である可能性が高いです。
水道水の水質が、水草水槽にとって良い水かどうかは、KHなど他のパラメーターを調べる必要があります。
塩素/クロラミン
塩素は水槽内のバクテリアを殺し、魚のえらや皮膚に損傷を与える可能性があります。水換えの水に塩素が含まれている場合は、必ずカルキ抜きか浄水器を使用する必要があります。カルキ抜きは重金属を無害化でき、浄水器は重金属を除去できるものが好ましいです。これにより、水を安心して交換できます(水道水と水槽のKHが近い場合)。大規模な水換えは、一般的に有機廃棄物を減少させ、コケ類の問題がある水槽や生体の多い水槽にとって有益です。
NPK値(硝酸塩、リン酸塩、カリウム)
これらの成分は水道水に微量含まれていることがあります。NPK値が高い場合は、肥料の投与量を調整する必要があります。例えば、硝酸塩が15ppm、リン酸塩が4ppm含まれている場合、硝酸塩とリン酸塩が少ないか、全く含まれない液体肥料(APT ZERO)を投与します。RO浄水器を使用する以外に、水道水からNPKを取り除く簡単な方法はありません。
銅
一部の地域では、水道水に銅が含まれていることがあります。銅は特にエビにとって致命的で、種によっては0.1ppm以下の銅でも危険です。重金属を無害化するカルキ抜きを使用すると、銅の毒性を軽減できます。大量の銅を取り除くには、RO浄水器が効果的です。
カルシウム
ほとんどの水道水にはカルシウムが含まれています。エビや特定の硬水を好む水草は、より高いカルシウム値を好みます。水道水が軟水でカルシウムが30ppm未満の場合は、 APT SKYを使用してカルシウム濃度を40〜60ppmに上げると役立ちます。ロタラ・フロリダや クリプトコリネ・フラミンゴなどの水草は、このカテゴリーに分類されます。極端な濃度でない限り、より高いカルシウム値に欠点はありません。
ロタラ・フロリダとクリプトコリネ・フラミンゴは、カルシウム値が高いと成長が早く、また葉が溶ける問題も少なくなります。
マグネシウム
マグネシウムは主要な栄養素であり、成長が早い水草が多い水槽では、水道水に含まれるマグネシウムだけでは十分でないことがよくあります。例えば、 ロタラ・マクランドラなどは、水中のマグネシウム濃度が高いことを好みます。もし水道水に含まれるマグネシウムが5ppm未満であれば、 APT SKYを使用してマグネシウムを約10ppmに上げると良いです。
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まとめ
KH、カルシウム、マグネシウムなどの重要なパラメーターに注意を払わずに、TDSやPHなどの重要ではない値に注意を払うアクアリストが多すぎます。自身の水道水を調べることで、水道水に含まれている成分を簡単に知ることができます。水道水のKHが高い場合は、軟水種を避けるか、必要に応じて対策を講じる必要があります。水道水が理想的な水質でない場合は、RO浄水器を使用することが一つの選択肢ですが、手間がかかるため、そのままの水で育てることのできる水草や魚を選ぶ方が最適です。
THE 2HR AQUARISTのあるシンガポールの水道水のKHは1未満で、カルシウムとマグネシウムの値が低いため、APT SKYを使用してこれらの値を補充しています。