熱帯魚やエビの水合わせ方法 ep.11
今回は熱帯魚やエビの水合わせ方法について紹介します。水合わせは時間をかけて行うべきか、それとも迅速に行うべきか?それは水質の差によります。
この情報は、THE 2HR AQUARISTのデニスによる研究結果に基づいています。
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水槽立ち上げ後、熱帯魚やエビはいつ導入するべき?
結論から言うと、水草植栽後には最低でも2ヶ月以上待つことがおすすめです。新しい水槽を立ち上げた後、水槽の環境が安定するには時間がかかります(通常3〜4ヶ月かかります)。
バクテリアは急激なアンモニア濃度の上昇に適応するのに時間がかかります。また、有機廃棄物を分解するためのバクテリアが増殖するにも時間がかかります。以前の水槽からレイアウトを変更する場合、フィルターのろ材と、ソイルを5:5の割合で引き継ぐことをおすすめします。
熱帯魚は水槽内で有機廃棄物を発生させる要因です。水草水槽では、熱帯魚の数が少ないほど管理が容易になります。熱帯魚やエビを一度に多く投入するのではなく、徐々に追加していくことで、バクテリアが適応するのに時間を与え、コケの発生リスクを低減できます。
また、水換えの際に底床の掃除を怠らず行うことも、コケの発生リスクを抑えるために非常に重要です。
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熱帯魚やエビを入れてコケが生えた場合は?
コケの種類別の対処方法については下記を参照してください。
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熱帯魚やエビの水合わせ時に注意するべき点
熱帯魚やエビを水合わせする際に注意すべきポイントは以下の3つです。
- 水温の差
- KHの差
- CO2濃度
水合わせの際に水温を合わせることはよく知られていますが、KH(炭酸塩硬度)の差も重要です。KHの差が大きいと、熱帯魚やエビが浸透圧ショックを受ける可能性があります。この浸透圧ショックは、数時間から数日かけて徐々に生体を弱らせ、最終的には死に至ることがあります。水合わせ時には水温だけでなく、KHの差にも注意が必要です。
KHの差が2dkh以下であれば、水温を合わせた後、熱帯魚やエビを水槽に導入しても問題ありません。KHの差が3〜4dkhの場合、点滴法を使って2〜4時間かけて水合わせを行うことがおすすめされます。点滴法を使用する際には、2時間かけて水の量を2倍に増やしてください。KHの差が5dkh以上の場合、週に2〜3dkhずつKHを慣らしてから熱帯魚やエビを導入することがおすすめされます。この方法では、ストック水槽を使用して水槽の水を少しずつ混ぜ、KHを調整していく必要があります。
水合わせの際におすすめするKHの測定方法は、水槽内の水と生体が入った袋の中の水のKHを測定することです。
最後に注意しないといけないのがCO2濃度です。
CO2を添加した水槽に熱帯魚やエビを導入すると、窒息の危険性があることに注意が必要です。熱帯魚やエビを水槽に導入する際は、CO2を添加していない時間帯を選びましょう。水槽に導入後はCO2を添加しても問題ありません。熱帯魚やエビは徐々に新しい環境に体を慣らすことができます。水合わせの際には、これらのポイントを確認してから行うことで、成功の可能性が高まります。
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熱帯魚やエビの水合わせ時の、その他の注意点
KHの差があまり大きくない場合、点滴法などで時間をかけて水合わせを行うのはおすすめしません。熱帯魚やエビが入っている袋の水はろ過されていないため、時間の経過と共に生体の排泄物によりアンモニア濃度が上昇し、酸素濃度も低下する可能性があります。時間をかけた水合わせが失敗する場合、これが原因の可能性も考えられます。
点滴法を行う際には、水槽の水と袋の水のpH値にも注意が必要です。たとえば、水槽の水のpHが7以上で袋の水のpHが7未満の場合、時間をかけて水合わせを行うことにはリスクが伴います。これは、アンモニアがpHが7以上のアルカリ性の環境では熱帯魚やエビにとって毒性の強いアンモニアとなり、pHが7未満の弱酸性の環境では毒性の弱いアンモニウムとなるためです。
袋の水が弱酸性であり、水槽の水がアルカリ性である場合、水中のアンモニウムは時間の経過と共にアルカリ性の影響を受け、毒性の強いアンモニアに変化してしまいます。したがって、pHの差がある場合には慎重に水合わせを行う必要があります。
KHの差が2以下と小さい場合は、点滴法などを行う必要はありません。迅速に熱帯魚やエビを水槽に入れる方が、水合わせの成功確率が高まります。