水槽水面の油膜の5つの原因
水槽の水面に現れる油膜は、水草水槽にとって深刻な問題となります。この油膜は水槽内の環境に悪影響を及ぼし、その原因は様々です。ここでは、THE 2HR AQUARISTのデニスによる研究結果をもとに、水槽水面の油膜が生じる5つの主な原因について詳しく解説します。
-
水槽水面の油膜とは?
水槽の表面には、時折、乳白色の油膜が形成され、これは見た目が良くありません。この油膜は、主にバクテリアのバイオフィルムであり、他の微生物の集まりでもあります。
水槽の表面にできる油膜は、重要なガス交換プロセスに影響を及ぼし、結果として水槽内の酸素濃度を低下させる可能性があります。ほとんどの水槽では、酸素供給は主にガス交換に頼っています。
水槽内の水草は、ライトが点灯している時にのみ酸素を生成します。通常、水槽ではこれが約7〜8時間続きます。しかし、生体やバクテリア、他の微生物などは、24時間を通して酸素を必要とします。十分な酸素濃度は、特にバクテリアの活動をサポートするために重要です。バクテリアは有機性廃棄物を分解し、コケの発生を抑制する役割を果たします。
従って、水槽に見られる油膜は一見無害でも、実際には様々な問題を引き起こす可能性があります。この油膜の存在が酸素供給に影響を与え、結果として水槽内の生態系全体に悪影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。
水槽を新しく立ち上げた際には、しばしば油膜が見られます。これは、新しい環境に水草が適応し始め、その過程で多くの場合、タンパク質を放出するためです。
-
水槽水面の油膜の5つの原因
- 過剰な有機廃棄物 : 水槽がまだ濾過が十分に成熟していない初期段階や、フィルターのサイズが小さい水槽では、有機性廃棄物が速やかにバクテリアによって分解されず、その結果、水面にバクテリアコロニーが蓄積しやすくなります。
- 水槽内のパラメーターの変化 : 光量や肥料濃度の変動、新しい機器の導入などが原因で、水草は新しい環境への適応過程で細胞を再プログラムします。このプロセスにより、水面にタンパク質が放出され、それが油膜として現れることがあります。そのため、水槽内の環境が改善されている場合でも、環境の変化が一時的に油膜の増加につながる可能性があります。
- ろ過の不良 : 適切なろ過や効果的なガス交換が行われない水槽では、バクテリアは酸素が豊富な水面に特に集まりやすくなります。水面に形成された油膜は、ガス交換を一層減少させるため、これが一種の悪循環を引き起こします。
- 過剰な鉄の投与 : 鉄分の投与が過剰になると、水中に粘りのある白い膜が生じ、これによりバクテリアが異常に増殖することがあります。
- 成長の早い水草の多い水槽 : 毎週の植え替えやトリミングが頻繁に行われる水槽では、水槽が成熟しており他に問題がない場合でも、しばしば油膜が発生します。
-
油膜を除去する方法
最も手軽な対策は、サーフェススキマーを利用することです。2HR Wayではこれが標準機器となっています。サーフェススキマーを使用すると、水面に発生した油膜がフィルターに引き込まれます。これにより、ガス交換が大幅に向上します。
基本的に、水草水槽では油膜が発生することが避けられません。水草の成長が緩やかで環境が安定している場合は、サーフェススキマーがなくても油膜が発生しないこともあります。
-
まとめ
水草水槽においては、油膜は深刻な問題です。水面を常に清潔に保つことで、酸素濃度が上がり、好気性バクテリアの活動も促進されます。これにより、コケの発生リスクを抑制することができます。
また、良好なガス交換を確保するためには、フィルターの流量も重要です。水流が弱いと、水面の酸素濃度の高い水を水槽全体に循環させることが難しくなります。以下の記事も参考にしてください。