水草水槽の肥料と水質(硬度)について ep.4
水草水槽の管理方法「2HR Way」において、水質と肥料は水草の健康な成長に不可欠な要素です。この記事では、水質と肥料について基本的な内容を解説します。
今回の情報はTHE 2HR AQUARISTのデニスの研究結果に基づいています。
-
水草水槽に液体肥料は本当に必要なのか?
ソイルには水草に必要な栄養素が含まれているため、液体肥料は必要ないと思われるかもしれません。しかし、ソイルに含まれる栄養素の量や持続性は一定とは言えません。また、水草にとって重要な可溶性の栄養素(カリウムや微量元素など)は、水換えによって失われることがあります。そのため、水草植栽後から液体肥料を追加することがおすすめされます。
水草水槽は密閉された環境であり、自然の環境とは異なり、有機物の分解やミネラルの循環が限定されています。したがって、水草に必要な栄養素が土壌から供給される自然のサイクルは存在しません。ソイルは通常、水草に栄養素を供給する役割を果たしますが、それも一時的で、数週間から数ヶ月の期間で栄養素が枯渇します。このため、水草が健康に成長し続けるためには、液体肥料を使用して栄養素を補給する必要があります。
-
生体が多い場合でも水草水槽に肥料は必要?
確かに魚の排泄物から一部の栄養素は供給できるかもしれませんが、すべての必要な栄養素を十分に補給するのは難しいことがあります。特に微量元素などの栄養素は、魚の排泄物からの供給だけでは不完全なことが多いです。例えば、キレート鉄のような微量元素は、水中で生成されることが難しく、鉄は水草にとっては非常に重要な栄養素です。
そのため、水草水槽では液体肥料を使用して、カリウムや微量元素など必要な栄養素を補給することが一般的です。これにより、水草の栄養バランスを適切に維持し、健康的な成長を促すことができます。
また、有機廃棄物の分解に関しても、水槽内でのプロセスは複雑で、過剰な有機物はコケの発生につながる可能性があります。そのため、過度な有機物の蓄積を防ぐために、適切な水換えとメンテナンスが重要です。
魚の多い水槽では、魚の排泄物からの硝酸塩とリンが増加する可能性があります。一部の栄養素は魚の排泄物から供給されますが、鉄、微量元素、カリウムなどは通常不足します。これらの栄養素は水草にとって重要で、不足すると水草の成長や健康に影響を及ぼす可能性があります。
-
水草におすすめの肥料について
APTシリーズの製品は、水草水槽の肥料として非常に効果的であり、水質や水草のニーズに合わせて選ぶことができます。例えば、魚の多い水槽にはAPT ZEROを使用することで、魚の排泄物からの窒素を供給し、水草の成長をサポートできます。水草の多い水槽ではAPT COMPLETEが適しており、水草が必要とする栄養素をバランスよく供給します。また、ソイルの栄養素が不足してきた場合にはAPT JAZZを使用することで、不足した栄養素を補充できます。
適切なAPT製品を選んで利用することで、水草を健康に育てるのに役立ちます。水槽内の環境や水草の状態に合わせて製品を使い分けることが、成功の鍵となります。
詳しくは下記の記事をご参照ください。
-
水草水槽の水質について
炭酸塩硬度(KH)の値は水草水槽において重要な要素の一つです。KHは水中の炭酸塩濃度を示し、水草や生体の浸透圧に影響を与えます。安定したKH値を維持することは水草と生体の健康を保つために重要です。
KHの値が水換えのたびに変動すると、水草はそのたびに浸透圧の調整を強いられ、ストレスを受ける可能性があります。また、浸透圧の変動は水草の成長にも悪影響を及ぼし、コケが発生するリスクを高めてしまいます。
水道水のKH値と水槽内のKH値を測定し、必要に応じて調整することで、水草水槽の安定性を向上させることができます。
テトラの試薬などを使用して簡単にKH値を測定できます。水草や生体のために、適切なKH値を維持することが大切です。
自宅の水道水の水質を調べる方法については下記をご参照ください。
-
水草水槽の炭酸塩硬度(KH)の値について
水槽の炭酸塩硬度(KH)が0〜2であれば、市販のほぼすべての水草を育てることが可能です。水道水のKHが低い場合は水草を育てる際に有利な状況と言えます。KHが3以上でも多くの水草(市販の95%ほど)を育てることはできますが、0〜2の範囲がより理想的とされています。
低いKH値は、水草水槽の管理を容易にし、水草の成長を促進します。水道水のKH値が高い場合はKHを下げる方法も検討することができます。水草水槽に適した環境を整えるために、KH値を調整することは一つのアプローチです。
水道水のKH値が高い場合、水草の育成が難しくなることがあります。一般的に、水草の多くは軟水環境に適しており、KH値が高いと水草が適切に成長するのが難しくなります。水草水槽を成功させるためには、水質パラメーターに合わせて水草を選ぶことが重要です。
組織培養で販売されている水草は一般的に育成が難しい種類は少ないため、初心者でも比較的成功しやすいです。ただし、KH値が高い場合には、ロタラ・マクランドラなどの軟水種の育成が難しくなることがあるため、水草の選定に注意が必要です。地域ごとの水質を確認し、水草の種類を適切に選ぶことが成功への鍵となります。
-
水草水槽の硬度(GH)の値について
GH(一般硬度)は多くの水草や生体にとって、比較的寛容なパラメーターです。しかし一部の水草、特にブセファランドラやクリプトコリネなどは中程度のGH(5〜7程度)を好みます。
エビやビーシュリンプなどは、一般硬度(GH)が中程度の範囲を好みます。水道水のGHが低い場合、特にエビを飼育する場合には、GHを調整する必要があるかもしれません。 APT SKYなどの水質調整剤を使用して、GHの値を上昇させることができます。APT SKYは、炭酸塩硬度(KH)に影響を与えず、GHのみを上昇させることができるため、水槽のGH調整に適しています。エビやビーシュリンプを飼育する際には、彼らの好む水質条件を提供することもできます。
-
水草水槽のPHの値について
水草を健康に育成する際には、PHの値はあまり重要ではありません。詳細については下記の記事を参照にしてください。