なぜ水草が上手く育たないのか？

水草が上手く育たない理由について解説します。水草の成長が思うように進まない方は、以下の情報が参考になるかもしれません。

今回の情報はTHE 2HR AQUARISTのデニスの研究結果に基づいています。

• 水草が育たないのは栄養素が原因？

アクアリストは水草を育てる上で、栄養素の投与が重要であることをすぐに学びます。しかし、多くの人は、この事実を過度に評価して水草の成長、形、色の変化が栄養素のみに関連していると考えています。これは光の見えないトンネルに入るようなものです。

陸上植物の栄養素欠陥リストを参考にすると、例えば葉の黄化は栄養素に原因があると考えるでしょう。成長の問題を栄養素のせいにするのは簡単です。しかし、葉の黄化や発育不全は栄養素に関連しない問題に影響を受けている可能性があります。すでに十分な量の栄養素を投与している場合、栄養素の原因を探し続けることは問題を解決する手助けにはなりません。

その結果、多くの場合、窒素、リン、カリウム、鉄の投与量を微調整するという終わりのない負のスパイラルにはまります。水草が上手く育ち、コケが生えない栄養素の比率を見つけることを望んでいます。しかし、水草の成長に影響を与えるのは肥料や水のパラメーターだけではありません。

水草の栄養素の欠乏については、陸上植物の栄養素欠陥リストは当てはまりません。水草の専門家の意見を参考にしてください。

・ヴィン・クッティ

初心者から中級者の間でよく見られるのは、すべての問題が栄養素の欠如に起因しているという考え方です。以前、私も同様に、問題がカリウム欠乏であると考え、カリウムを追加しても改善しない場面に遭遇しました。しかし、実際の原因はメンテナンスの不足とCO2の不十分な添加でした。

・トム・バー

問題点を見つけるのではなく、水草の健康に焦点を当てることが重要です。この考え方は単純なようですが、アクアリストの視点を欺くことがあります。

• 水草が育たない原因を排除することは簡単？

まずはご自身の水道水の水質を確認してみてください。水道水の水質を知る方法については、以下の記事を参考にしてみてください。

• 水草が上手く育たない主な原因

トム・バーは水草が上手く育たない最大の原因としてCO2を挙げています。多くの人が「大量に」CO2を添加していると考えているため、実際のCO2濃度が良好であると勘違いしています。しかし、CO2の添加方法や水槽の大きさ、水の流れなどによってCO2濃度は大きく異なります

水草の質量の50%は炭素ですが、最も使用されている「栄養素」である窒素は水草の質量の約1.5%しかありません。しかし、ほとんどのアクアリストは実際のCO2濃度がどのくらいかについては理解していません。水草の成長にはCO2が不可欠であり、CO2の同化は光に依存しています。CO2濃度を正しく調整することが水草の健康な成長に重要です。

また、水草は貯蔵された栄養素を利用できません。窒素、リン、カリウムは一般に魚の排泄物、ソイル、水道水から入手できますが、CO2は添加する必要があります。水槽内でのガス交換により微量のCO2も得られますが、通常はそれだけでは水草に必要な十分な量を確保できません。

キューバ・パールグラスはCO2濃度の優れた指標です。CO2濃度が低い場合、キューバ・パールグラスは、立ち上がるように成長します。この植物はドロップチェッカーよりも優れたCO2濃度を示す指標となります。

• CO2濃度を改善する方法

CO2濃度を改善するための重要な3つのステップ

1. CO2濃度を測定するより良い方法があります。それはPH降下法です。PHを1ポイント下げます。（ドロップチェッカーでは、CO2濃度が適切かどうかを知ることはできません）
2. ガス交換の重要性を理解します。水槽内の流量を良好にし、水槽の表面の水と深い層の水を循環させます。
3. ライトが点灯する前に理想のCO2濃度にします。狙ったCO2濃度になるまでに2～ 5時間かかる場合があります。
4. 魚が息を切っているからといって、水中のCO2濃度が高いと思い込まないでください。十分なガス交換がない水槽では、酸素濃度が時間帯によって低下する可能性がありますが、これはCO2濃度とは無関係です。

• 水草の環境の適応反応を栄養不足と間違える

水草は環境の変化に対応するために、細胞を再プログラムする必要があります。例えば、光が不足すると、有茎草はエネルギーをより長い茎の成長に向けて、光にアクセスしようとします。同様に、水草は新しい環境に適応するために、エネルギーを新しい葉に送ります。その結果、古い葉は劣化し、新しい環境に適応した葉が健康で、コケに対しても耐性があります。一方で、古く劣化した葉はコケの発生を引き起こす可能性があります。

これには2つの重要な要素があります。

まず第一に、水槽の環境を安定させることが重要です。これは、CO2濃度、水のパラメーター、栄養素などを一定に保つ必要があります。水草の環境が変わると、それに対応するために水草自体が適応反応を起こします。しかし、アクアリストが栄養素の変化を原因と見なし、環境が安定する前にパラメーターを頻繁に変更し続けると、水草が枯れたり溶けたりすることがよくあります。水草が新しい環境に適応するには、最大で2～3週間かかることがあります（CO2を添加している場合）。CO2を添加していないか、成長が遅い種類（例: ブセファランドラなど）では、環境に適応するのに最大で2か月かかることがあります。

次に、水草に関する重要な点として、古い葉が回復しないという事実を理解することが挙げられます。水草が新しい環境に適応している場合、新しい葉は美しく発育し、コケも発生しないはずです。しかし、古い成長は劣化するため、最終的には水草の新しい成長部分を切り取り、古く劣化した部分を取り除いて植え替える必要があります。水草は、人間とは異なり、古い葉を治癒することができません。水草は常に新しい葉を成長させ、古くて適応していない葉は犠牲にして新しい環境に適応していきます。古い葉を長期間維持したい場合は、環境を安定させることが非常に重要です。

水草の古い葉が劣化するプロセスについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

• 水草が健康に育つ上で重要な点

水草について

• 育てている水草が過密状態になっていないか確認してみましょう。育てている水草の種類によっては、過密な状態にも耐えられるものもあります。
• 育てている水草の中に、劣化した古い葉が多く見られませんか？もし古い葉が光や水の流れを妨げているようであれば、上部をトリミングして植え直すことを検討してみてください。
• 水槽内の水草が密集しすぎて、他の水草の光や水の流れを妨げていませんか？
• 水草が成長するためのスペースはありますか?
• 水草を頻繁に引き抜いていませんか？ 
• 水草をトリミングしすぎていませんか？特に有茎草は、継続的なトリミングによって下の葉が傷みやすくなり、その場合は植え直す必要があります。
• 購入した水草が新しい環境に適応するのに十分な時間をかけましたか？最初から水草が健康だったかどうかも考慮してください。

ライトについて

• 水槽内は均一に照らされていますか？水草が原因である部分が日陰になっていないか確認してみてください。
• 背の高い水草にの近くは、一般的に光が届きにくくなります。
• あなたのライトは赤い水草を赤くするためのスペクトルを持っていますか？
• 石や流木が光を遮っていませんか？

底床について

• 根はどろどろではなく真っ白ですか？
• 水換え時に定期的に底床の掃除を行なっていますか？
• 育てようとしている水草は、ソイルが必要ですか？
• 底床に有機廃棄物が蓄積していませんか?
• ソイルの栄養素が不足していませんか？あなたが育てている水草にとって、根からの栄養供給は重要ですか？

水草が砂でも育つかどうかを知ることは重要です。

ろ過と流れについて

• 水槽内で水が全体的に循環していますか？また、育てている水草が流れを好むのか、それとも少ない流れを好むのかを確認していますか？
• 水槽内で適切な ガス交換が行われ、酸素濃度が常に良好かどうか確認していますか？
• 水槽の生物ろ過が十分に成熟しており、安定して良好な水質を維持していますか？
• 水槽内の有機廃棄物は十分な速さで処理されていますか？コケの発生や水質が悪化していないか確認しましょう。
• 水槽内のの化学性質が大きく変動するような行動をとっていませんか？例えば、吸着剤の使用などによるものです。

酸素濃度を適切に維持することは、CO2濃度を安定させることと同じくらい重要です。

• コケが生えた場合の対策方法

デニス・ウォン - コケは単なる症状であり、取り除くだけではなく、その原因を解決することが重要です。

水草にコケが付着している場合、これは水草が何らかの適応ストレスを受けているか、十分に成長していないことを示唆しています。主要な課題は水草の健康状態を改善することであり、コケの除去はその次の段階です。アクアリストは時折、水槽の水質パラメーターに過度に焦点を当てがちですが、水草からの直接的なサインを見逃さないようにすることが重要です。

水換えだけでは不十分です。底床の掃除を行うことで有機廃棄物を効果的に取り除けます。水質パラメーターの管理だけでは、コケを完全になくすことは難しいです。

• まとめ

水草水槽を美しく管理するためには、水草の健康と水槽の清潔さが最も重要です。水質パラメーターに過度に焦点を当てるのではなく、水草の特性を理解し、定期的なメンテナンスを怠らないことが成功の秘訣です。